こまっちゃん、走ります!

武雄市長 小松 政(こまつ ただし)の活動日記です。

熊本支援の中での気づきと、僕が考えたこと

今日まで九州市長会だったのですが、その場で福岡市の高島市長からいただいたのが、このレポート。

「平成28年熊本地震 福岡市被災地支援活動レポート」

今日オープンになったそうで、さっそく熟読しましたが、すごく参考になります。皆さんも、ぜひ一度、目を通してもらえると嬉しいです。

熊本地震に対しては、武雄市でも「がんばろう!九州 武雄温泉 宿泊キャンペーン」をはじめ、発災以降、継続的に支援を行っていますが、そのなかで私にとっても色々な気づきがありました。レポートという立派なものでは全然ないのですが、行政に関する備忘録として2点記しておきます。

未来に向けて、何か一つでも参考になることがあれば嬉しいです。皆さんからのご意見もお待ちしています。

 

1.物資支援について

◯ 初期段階での対応。とにかくスピード感を持って搬送することが大事。発災当初は水や食料などを大量に輸送することが求められるが、時間が経つにつれて必要となる物資のニーズは多様化する。大量搬送になじむ行政の役割としては、特に初期の物資搬送が大事と考える。

◯ 現地のニーズとのマッチング。私たちは現地の声やホームページ、SNSを頼りに物資ニーズを把握したが、もっといえば、福岡市のように、特定の自治体にバイで職員を派遣し、タイムリーにニーズを把握することが望ましい。

◯ 物資搬送のハブ化。市民に受け入れ募集した物資について、武雄市内でのストックが不足したこと、また、被災地への直接の郵送が困難な中、全国から少しでも力になりたいという多くの声があったことから、武雄市では物資支援のハブになることを決定した。本来であれば、遠方自治体が近隣自治体にお金を送り、集まったお金で近隣自治体が物資を購入して被災地に搬送するというのが効率的ではあるが、近隣自治体も物流の関係で物資の余裕がないという現状を踏まえ、今回は上記のような支援を行った。

ハブ化を打ち出したのが本震発生から3日目であり、全国から武雄市に物資を送ってもらうのに必要な期間を考慮すると、物資を搬送したのが本震発生から6日目となった。教訓として、発災から時間をおかずに確実に物資を搬送するためには、ハブ化の公表を1日でも2日でも早めにやっておいた方が、初期の切迫した現地ニーズにより応えられたのかもしれない。

◯ 物資の仕分けについて。現地での仕分けには相当の労力を必要とする。そこで、武雄市としても、現地ニーズを踏まえるとともに、現地での労力を考え、品目はなるべく絞って募集し、搬送を行った。

ただ、8品目に限って全国に物資の募集を行ったものの、実際には、8品目以外の様々な物資が続々と送られてきた。現地ニーズが多様化するのと並行して、物流が復旧し現地でも物資の受け入れを中止したことから、武雄市としては初動時の大量搬送をもってハブ化は終了した。実際の募集にあたっては、品目を限定している旨をさらにしっかりと周知することが必要だと感じた。

  

2.自治体同士での協力体制の必要性について

発災による被害や現地状況は、被災した自治体ごとで異なる。特に、発災から時間が経過するにつれて、それは顕著となる。支援する自治体にとってもオーダーメード型の支援が求められるようになると考える。

そこで、武雄市では、もともとつながりのあった熊本県高森町、そして周辺自治体と比較してまだ被害が甚大でなかった高森町が支援しようとしている南阿蘇村をはじめとする周辺自治体を支援することを決め、現地ニーズの高い人的派遣として、高森町へ職員の派遣を行っている。

今回、私のもとにも、全国の自治体から、熊本や大分を支援したいと思っても、特に人的派遣についてどこにどうすればよいのかという声が寄せられている。(特に、行政の専門職員の人的派遣は今最も求められている支援の一つである。)

九州内であれば、例えば佐賀県は、県と市町が一体となって西原村を支援するといったスキームがあるが(武雄市西原村にも職員を派遣している)、それとは別に、自治体同士がバイで支援を行うということがあってもいいと考える。

実際、福岡市がスピード感を持って支援を行えたのは、言うまでもなく高島市長のリーダーシップによるところが大きいが、福岡市は直接の支援として、同じ政令市である熊本市をバイで支援するということが、タイムリーな支援につながっているものと考える。

一つの提案としては、近隣自治体同士、あるいは全国8から9ブロックごとに自治体間で協定を結んでおいて、何か起これば、一つの被災自治体に対し、協定を結んだ全国の自治体が応援に入るといった仕組みの構築が有効ではないかと考える。

武雄市としては、県を通じた西原村の支援に加え、引き続き、高森町役場、そして高森町の草村町長と密に連絡を取り合い、職員の派遣だけでなく、今後は現地からの要請に応じた市民ボランティアの派遣も含め、スピードあるバイの支援を続けていきたいと考えている。