こまっちゃん、走ります!

武雄市長 小松 政(こまつ ただし)の活動日記です。

武雄版地方創生戦略の読み方

先月末、「武雄市まち・ひと・しごと総合戦略」を国に提出しました。

短期間にもかかわらず、市役所内での議論をもとに、議会の特別委員会、産官学金労言の有識者による懇話会でご議論いただき、一つの期限である10月末までに策定。

この地方創生の戦略、国の方針に基づき、今年度各自治体が策定していますが、武雄市版のもののポイントをお伝えします。少し長いので、時間がない方はタイトルのみでOK、興味ある方は文章も読んでいただけると嬉しいです。

 

(1)とにかく自前で作った

自治体によれば、策定業務をコンサルにまるまる委託しているところも多く、ネットで見ていると「すごく立派で綺麗、でも何となく紋切り型」というような戦略もある中、武雄市では当初から、とにかく自前で作ろうと。しかも極力シンプルに。

市民の皆さんのつぶやきを集めるために実施したワールドカフェ「今と未来を語る会」は、専門のファシリテーターにお願いしましたが、策定自体は市役所の自前。計画そのものは、随時改善していけばよい。とにかく自分たちの手で書くことにこだわりました。

 

(2)タイトルは「もっと輝く☆スター戦略☆」

なぜ「☆」が入っているのか。僕も正直100%わかりません(笑)。でも、担当の企画課にお願いしたのは、タイトルも柔軟に考えて欲しいと。結果、企画課の松尾千春さんがキャピッとした女子力高めなタイトルを考えてくれて、そのまま採用。これ、いいね!となりました。

 

(3)我々が目指すのは、市民一人ひとりの幸せをいかに増やすか

まちをどうするか以前に、地方創生で最も大事なのは、一人一人の幸福をいかに増やすか、ということ。一人一人の幸福の集積が地域の幸福に、地域の幸福の集積がまちの幸福になる。そして、幸福とはいくつかの要素の総和であると、僕たちは考えました。

幸福=f(a(経済的豊かさ)、b(子育て・教育)、c(生きがい・健康)、d(交流)、e(地域のつながり))

これは、大学の恩師である蒲島熊本県知事の考え方を参考にしたもの。戦後は、ややもすればa(経済的豊かさ)一辺倒だったきらいがある。しかし、これからはそうではない。ある施策がa〜eのどこかに寄与するのであれば、結果、市民の幸福度も向上する。そういう考え方をこの戦略で打ち出しました。

 

(4)人口目標だけでなく、目標は所得10%アップ

人口5万人の武雄市の場合、5年後は推計では4万8千人になります。自治体によっては、人口大幅増を目標に掲げているところもある。しかし、2050年には日本の人口が約1億人になり、2100年には約5000万人になると推計されている中、人口が大幅に増えるというのははっきり言って非現実的。

それよりも市民福祉の向上にとって大事なのは、所得だと思うのです。これについては、地方創生アドバイザーの樋渡さんから貴重なアドバイスを頂きました。ここはチャレンジな目標ではありますが、市役所一丸となって所得10%アップに向けて知恵を絞りたいと思っています。

 

5)シンボル事業は「武雄市図書館を中心とした、都市魅力アップのための子育てセンター(仮称)事業

武雄市といえば武雄市図書館と言われるほど武雄市のシンボルですし、利用者アンケートでも85%の方が満足と答えておられます。

そして、地方創生では、地域にある強みを活かすことが大事。武雄市子ども・子育て支援のニーズ調査によれば7割以上の方が子育てしやすいと感じていますし、ICT教育や花まる学習会との官民一体型小学校など教育の充実も5年前から図ってきている。

これらを踏まえると、武雄の強みである子育て・教育をもっと伸ばし、「ワンランク上の」環境をつくることが、今ある強みを活かして真っ先に取り組むべき地方創生策だと思うのです。それに、子育て・教育の充実は、地域経済の活性化にも寄与する。あえていえば「女子が住みたい」まちをつくる。これからはこれが重要なポイントだと僕は思っています。

6月議会で子育てセンター構想を発表し、9月議会でパース図も示しましたが、まずはこれを重点的に取り組みたい、そして誰もがうらやむような、図書館を中心とした子どもゾーンをつくっていきたいと考えています。もちろん、教育面もガンガン進めていきます。

 

国も公言していますが、地方創生の計画については、5年間これにガッチリと縛られなければならないものではなく、日々進化していくものだと考えています。市役所の施策もそう。本筋は僕たちの「北極星」としておさえつつ、現場や時代のニーズに合った施策を進めていきたいと思っています。

まずは、関係者の皆さん、そして、職員の皆さん、特に企画課の皆さん、本当にお疲れ様でした。引き続きよろしくお願いします。